ナットはボルトやねじと組み合わせて使用し、部材同士を強固に締結するために欠かせない部品です。
また形状や機能、材質、表面処理の違いによって、強度・作業性・外観・耐食性が大きく変わります。
加えてナットの選び方を間違えると重大なトラブルにつながる危険もあるため、正しい選び方を把握しておくことが大切です。
本記事では、現場でよく使用される代表的なナットの種類とその用途、さらに特殊形状のナットについても解説します。
ナットの正しい選び方も解説するので、困ったときの参考にしてください。
ナットとはボルトやネジと組み合わせて使用し、部材を固定するための締結部品です。
内部にねじ山があり、ナットにボルトを通して工具で部材同士を締め付けて固定します。
形状は六角形が一般的で、スパナやレンチを使って容易に締め付け・取り外しが可能です。
見た目は小さくとも、構造物や機械の安全性・耐久性に大きく関わる重要なパーツであり、日常的なDIYから大規模な建築工事まで、幅広い分野で使用されています。
またナットには標準的なものから特殊な用途に合わせた形状まで多くの種類があり、強度・耐振動性・見た目などの観点から使い分けられます。
上述した通りナットには数多くの種類があり、用途や環境によって選ぶべき種類が異なります。
例えば建築現場では強度重視の六角ナット、自動車では安全性を高めるために袋ナット、家具組み立てではTナットなど、利用場面によって適切な種類が異なります。
下記ではナットの代表的な種類とその特徴を解説します。
六角ナットは外側(工具をかける場所)が六角形の形をしたナットです。
スパナやレンチで作業がしやすいことから、家庭用から産業用まで幅広く使われています。
また強度と作業性のバランスが良く、材質・表面処理の選択肢も豊富です。
多くの標準規格で使用されているため、入手のしやすさやコスト面でも優れています。
六角ナットには1種・2種・3種があり、1種は片方のみ面取りがあるタイプ、2種は両方に面取りがあるタイプ、3種は厚みが薄いタイプです。
使用されやすいのが1種で、「六角ナット」といえば一般的に1種を指されることが多いです。
袋ナットは頭部がドーム状に丸みを帯びた形状のナットです。
ボルト先端を覆い隠せるため、外観を美しく見せることができ、先端の突出によるケガやサビ防止にも役立ちます。
上記の特徴から自動車や家具など、安全性やデザイン性への配慮が必要なシーンで用いられることが多いナットです。
ただし内部は途中で行き止まりの構造となっているため、長さが合わないボルトを使うと底付き(ねじ頭部またはねじ山がそれ以上に締め込めなくなる状態)して十分に締め付けられません。
そのため、ボルト長さの選び方が重要になります。
フランジナットはナットの座面側に円盤状のフランジが付いた形状が特徴的なナットです。
座面面積(相手材と接触する面積)が広がることで部材を安定して締め付けられるため、ワッシャーを併用しなくても十分な締結力を得られます。
薄板や樹脂など座面条件が悪い場所でも締め結けやすく、部品・作業点数の削減にも役立つことから、安定性と作業効率を両立させたい現場におすすめのナットです。
特に歯付き(セレーション)タイプは座面が食い付いて緩みにくく、振動に強いことから、自動車や機械部品に多用されています。
ただし歯付きは塗装面やアルマイト面を傷つけるリスクがあるため、外観を重視する用途ではノンセレーション型やワッシャーを併用されるのが一般的です。
ナイロンナットは、ナット内部にナイロンリングを組み込み、緩み止め機能を持たせたナットです。
通常のナットは振動によって緩むことがありますが、内部のナイロンリングとボルトのネジ山が摩擦することで、振動などによるナットの緩みを防止します。
航空機や自動車など安全性が求められる場面でよく使われますが、繰り返し使用すると性能が落ち、磨耗や変形が起こることがあります。
また高温環境では性能が低下するため、使用環境の見極めが必要なナットです。
その名前の通り、外側(工具をかける場所)が四角の形状を持つナットです。
六角と比べて角が少ないため、締め付ける際に工具が滑りにくいのが特徴です。
またレンチの当たり面が広く、溝形鋼や金具の角部に引っ掛けて仮止めしやすいことから、裏側に手が回りにくい箇所でも扱いやすいのもメリットとしてあげられます。
四角ナットは低コストかつ高保持のため、狭い場所で六角ナットが回しにくい場合の代替や、素手での仮止めを重視するシーンに向いています。
また古い規格品やレストア用途での互換性もあり、冶具・金具の現場改造にも重宝します。
ただし座面は平らでフランジがないため、座圧分散が必要な場合はワッシャー併用が基本です。
TナットはT字型溝に挿入して、部品を定位置で固定させるために使用するナットです。
回り止めを前提にした特殊ナットなので、突起部分が素材に食い込み、しっかり固定されるのが特徴。
木材や合板に埋め込んで使用し、表面からはボルトのねじ穴だけが見えるため、美観を損なわない点もメリットです。
家具の組み立てや木工製品に広く用いられますが、本来の性能を発揮するにはサイズ選びが重要です。
溝の規格や板厚、爪の食い込み深さ、専用のワッシャーやブラケットとの互換性を確認しましょう。
標準的なナットに加えて、特殊な形状や機能を備えたナットも数多く存在します。
例えば手で簡単に締め付けられる蝶ナット、板金に圧入して抜けにくくするクリンチングナット、高強度で大型構造物に使われるハイテンションナットなどです。
用途や現場環境に応じて選択することで、安全性や効率性が大きく上がります。
標準ナットで対応できない場合は、特殊形状のナットを採用することで、工数削減や品質安定につながる可能性があります。
ナットは見た目が同じでも、材質が違えば性能や寿命、使い勝手が大きく変わります。
一般的に広く用いられるのは、鉄やステンレスです。
鉄製ナットはコスト面で優れており、強度が高いため、建築や機械部品に多用されます。
一方で、屋外や水回りなど腐食が起きやすい環境には、サビに強いステンレスが有効です。
また真鍮製ナットは電気伝導性や加工のしやすさから電子部品や装飾品に利用されることが多く、アルミ製ナットは軽量性を活かして自動車のカスタムパーツに使われます。
特殊用途では、耐熱性に優れた合金製ナットや、軽量で絶縁性を持つ樹脂(ナイロン)製ナットという選択肢もあります。
耐久性と安全性を確保するには、用途ごとの特性を理解し、適切な材質を選ぶことが重要です。
ナットは使用環境や目的によって選ぶべき種類が変わります。
間違った選定をしてトラブルを起こすことがないように、ここで正しいナットの選び方を確認しておきましょう。
ナットを選ぶ際は、使用するネジとの相性を確認することが重要です。
例えばメートルネジとインチネジでは規格が異なるため、見た目が似ていても互換性がなく、正しく締結できません。
またネジ山のピッチ(山と山の間隔)が合っていなければ、強度不足や部品の破損につながる恐れがあります。
さらに硬さが極端に異なると、摩耗やガタつきが起こりやすくなるため、素材の相性も重要です。
特に高強度ボルトを使用する場合には、ボルトの強度区分に見合うナットを選ばなければ安全性を損ないます。
トラブルを防ぐためにも、必ず規格や素材の適合性を確認してから組み合わせましょう。
ナットは表面処理の有無によって、耐久性や用途が大きく変わります。
亜鉛メッキやクロムメッキが施されたナットは、サビに強く見た目も美しいため、自動車や家具など外観が重視される用途で広く使われます。
一方で、無処理の鉄ナットはコストが安く、屋内の仮設や短期使用向きです。
また黒染め処理が施されたナットは光の反射を抑える効果があり、機械内部や工具の一部など目立たせたくない場所で採用されます。
さらに表面処理は耐候性や耐薬品性を高める効果があり、工場設備や屋外構造物の長寿命化に役立ちます。
作業効率と安全性の両立するには、使用環境に応じて適切な表面処理を選択するのがポイントです。
ナットを選ぶ際には、取り外しの頻度も重要なポイントです。
メンテナンスや点検で定期的に取り外しをする部位は、標準的な六角ナットや工具不要で手締めできる蝶ナットが便利です。
一方で、取り外しがほとんど必要ない箇所や振動や衝撃を受けやすい環境では、緩みにくいナイロンナットが適しています。
歯付きフランジナットも緩みに強いですが、塗装面や樹脂母材を傷つけるため、頻繁な脱着には不向きです。
用途ごとに「取り外す回数」と「必要な固定力」を見極めることで、作業効率と安全性を両立したナット選びが可能になります。
この記事ではナットの選び方の解説を始め、おすすめのナットをご紹介しました。
ポイントは以下の3つです。
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