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ヘルメットの種類(工事・作業用)一覧!形状・材質・機能を分かりやすく解説

建設現場や工場、倉庫など、多くの作業現場では安全確保のためにヘルメットの着用が法律で義務づけられています。

頭部を守るための基本的な装備であるヘルメットですが、実は用途に応じて多くの「種類」や「仕様区分」が存在します。

誤った選び方をすると労災リスクが高まるだけでなく、法令違反となる可能性もあるので注意が必要です。

「どのヘルメットを選べば良いのか分からない」という疑問を持っている人のために、本記事では工事・作業用ヘルメットの形状・材質・機能・区分の違いを解説します。

T種・F種・E種などの仕様区分や、MP型や野球帽型などの形状ごとの違いを解説するので、ヘルメット選びで困ったときの参考にしてください。

工事・作業用ヘルメットの基本役割

工事・作業用ヘルメットは、建設現場や工場、電気作業などあらゆる現場で作業員の命を守る重要な保護具です。

頭部への飛来物や落下物の衝撃を吸収して外傷を防ぐ役割があり、労働安全衛生規則では以下の業務でヘルメットの着用を義務付けています。

  • 飛来物や落下物がある可能性のある作業
  • 2メートル以上の高所作業
  • 最大積載量2トン以上の貨物自動車における荷役作業


特に高所作業では、墜落時の頭部損傷を軽減したり電気作業時の感電リスクを低減したりと、作業内容に応じて適切な機能が求められます。

労働安全衛生法に違反すると企業や事業者に対して罰則が科される場合もあるので、個々の作業に応じた種類を正しく選ぶことが重要です。

工事・作業用ヘルメットの仕様区分

工事・作業用ヘルメットは、作業内容によって「飛来・落下物用(T種)」「墜落時保護用(F種)」「電気用(E種)」の3つに分類されます。

誤った種類を選ぶと十分な保護効果が得られないだけでなく、労災時に企業責任を問われることもあります。

作業によっては組み合わせが必要となることもあるので、仕様の見極めが重要です。

現場の安全性を守るために、使用区分の違いを把握しておきましょう。

飛来・落下物用(T種)

T種は「飛来物」や「上からの落下物」に対して頭部を保護するためのヘルメットです。

ヘルメットの外殻は硬質プラスチックやFRP(繊維強化プラスチック)など強度の高い素材で作られており、頭部に衝撃が直接伝わらないよう設計されています。

軽量で扱いやすいものが多く、着用の負担も少ないことから、建築・土木・運送・工場など広範な現場で使用されます。

特に上空からの工具・資材などの落下事故が多い作業環境では、T種のヘルメット着用が基本です。

墜落時保護用(F種)

F種は高所作業中に作業員が落下した際、頭部へのダメージを軽減するためのヘルメットです。

内部構造には衝撃吸収ライナーがあり、墜落時の衝撃を分散・緩和する設計で、建設現場での足場作業、電気工事、高所設備点検などでの使用が想定されています。

またT種との併用が推奨される現場も多く、両方の基準を満たした製品も多数存在します。

特に頭を打つリスクが高い作業に従事する人は、F種または複合タイプを選びましょう。

電気用(E種)

E種は最大20,000V以下の感電リスクを防ぐ目的で設計されたヘルメットです。

絶縁性に優れた材質(主にポリエチレン、ABS樹脂など)が使われており、電気工事や送電線工事、変電所作業などでは欠かせない存在です。

また水濡れや劣化による絶縁性能の低下を防ぐため、使用期限やメンテナンス管理も重要になります。

感電防止性能を維持するために、認証マーク付きの製品を選び、定期的な交換と保管管理を徹底しましょう。

組み合わせ区分

現場によっては複数のリスクが想定されるため、複合性能を持つヘルメットが必要になります。

代表的な組み合わせは以下のとおりです。

  • 飛来・落下物・墜落時保護用(T+F種)
  • 飛来・落下物用電気用(T+E種)
  • 飛来・落下物・墜落時保護用電気用(T+F+E種)


たとえば高所の電気設備点検など、落下・感電・落下物のすべての危険が想定される現場では、T+F+E対応のヘルメットが推奨されます。

ヘルメットを購入する際は厚生労働省の型式検定に合格したことを示す「労・検マーク(型式検定合格標章)」と使用区分表示を確認し、作業リスクに応じて適切なタイプを選びましょう。

工事・作業用ヘルメットの形状の種類

工事・作業用ヘルメットは、用途や作業環境に応じて形状が異なります。

形状によって快適性や保護性能、視界の確保などが左右されるため、作業内容に合ったものを選ぶことが重要です。

以下に代表的な3つの形状を紹介します。

MP型

MP型は前方にひさしがついており、頭頂部が丸く覆われたデザインが特徴です。

屋外作業や建設現場などで幅広く使われており、雨天時に雨を遮る機能や、日差しから目を保護する効果もあります。

保護性能と視界のバランスに優れているため、さまざまな現場で採用されているスタンダードなタイプです。

野球帽型

野球帽型は後頭部が短くスッキリしており、外観が野球帽に似ていることからこの名で呼ばれます。

コンパクトな形状のため、倉庫内作業や物流、設備点検など、狭い場所での作業や取り回しの良さが求められる現場に適しています。

ただし、ひさしが短いため、日差しの遮断や雨避け機能はMP型に劣ります。

アメリカン(前ひさし)タイプ

アメリカンタイプは前方に長めのひさしがあり、日差しや雨を遮る設計が特徴です。

紫外線対策や視界の確保に優れているほか、スタイリッシュな印象を与えるため、近年ではデザイン性も評価されています。

ヘルメットにゴーグルやシールドを取り付ける際にも適したタイプで、主に屋外作業や高所作業など、視界が重要な現場に向いています。

工事・作業用ヘルメットの材質の種類

ヘルメットの安全性と快適性は、使用されている素材によって大きく変わります。

以下では、ヘルメットに使用される代表的な4つの材質と特徴を解説します。

ABS樹脂製

ABS樹脂は軽量でありながら強度に優れ、耐衝撃性・耐寒性を兼ね備えたバランスの良い素材です。

日常的な現場作業から屋内作業まで幅広く対応でき、価格も比較的リーズナブルなため、多くの製品で使用されています。

また加工しやすく、カラーバリエーションや通気孔付きモデルなども豊富です。

ただし耐熱性はやや劣るため、高温環境には不向きです。

FRP製(繊維強化プラスチック)

FRP(Fiber Reinforced Plastics)は、ガラス繊維などで強化されたプラスチックで、高強度・高耐熱性が特徴です。

特に火気を扱う現場や高温環境での作業、飛来物のリスクが高い現場に向いています。

他の材質と比べてやや重量があるものの、その分、耐久性に優れています。

価格は高めですが、長期的な使用にも耐える高性能素材です。

ポリエチレン製(PE)

ポリエチレンは非常に軽く、コストパフォーマンスに優れた素材です。

主に軽作業や短時間の屋内作業、来訪者用など、衝撃リスクが低い現場で利用されます。

柔軟性が高く、被り心地も良好ですが、耐熱性や耐衝撃性はFRPやABSより劣るため、常用よりも限定的な使用に適した素材です。

ポリカーボネート製

ポリカーボネートは、透明性と衝撃強度に優れた高機能プラスチックです。

非常に高い衝撃吸収性を持ち、紫外線にも強く、飛来物や墜落リスクの高い現場や屋外作業に適しています。

価格はやや高めですが、軽量性と耐久性を両立しており、最先端の素材として注目されています。

工事・作業用ヘルメットの機能の種類

工事・作業用ヘルメットには、基本的な安全性に加えて、作業環境に応じた多様な機能が搭載されています。

代表的な機能の一つが「ひさし付き」のタイプで、直射日光を遮る効果があり、屋外作業時に視界を保つのに有効です。

また雨天時には雨よけにもなるため、快適性が向上します。

さらに「通気孔付きタイプ」も人気で、長時間の着用による蒸れや熱のこもりを軽減し、夏場の作業や屋内作業でも快適に使用できます。

その他にも、内装のクッション性が高いもの、あご紐がワンタッチで装着できるもの、シールドやゴーグルと連結できるものなど、使い勝手を高める機能が豊富です。

用途や作業時間、気候などに合わせて、機能性の違いも重視して選ぶと良いでしょう。

工事・作業用ヘルメットの注意点

安全性を確保するためには、ヘルメットの正しい使い方や管理が不可欠です。

特に以下の3点には十分な注意が必要です。

規格に応じた正しい使用

ヘルメットは用途別にJIS規格(例:飛来・落下物用、墜落時保護用など)に基づいて設計されています。

そのため作業内容に適した規格の製品を選ばなければ、必要な保護性能を得られません。

たとえば高所作業で墜落リスクがあるにもかかわらず、飛来物用のヘルメットを使用していた場合、事故時に重大なケガにつながる恐れがあります。

使用前に必ず規格表示を確認し、用途に合った製品を選びましょう。

使用期限の確認

工事・作業用ヘルメットにも「使用期限」があり、製品には製造年月日が記載されています。

一般的には製造から3-5年が目安ですが、見た目が問題なくても素材の劣化が進んでいる場合があるので注意が必要です。

特に強い衝撃を受けた際は、外観上の異常がなくても安全性能が低下している可能性があるため、定期的な買い替えをおすすめします。

正しい着用方法

ヘルメットの着用方法は、あご紐をしっかり締め、前後左右にズレないように頭にフィットさせることが基本です。

どんなに高性能なヘルメットでも、正しく装着しなければ本来の保護効果を発揮できません。

特に緩んだ状態やキャップのように浅く被るのは大変危険です。

また帽子やフードの上から被る場合は、フィット感が損なわれないよう注意が必要です。

現場での事故を防ぐためにも、正しい着用方法を習慣づけましょう。

まとめ

この記事では工事・作業用ヘルメットの基本的な役割や種類をご紹介しました。

ポイントは以下の3つです。

  • 工事・作業用ヘルメットは、現場の安全を守るために欠かせない装備。
  • 形状や材質、機能、規格など、作業環境やリスクに応じて適切なものを選ぶことで、事故のリスクを大幅に低減できる。
  • 安全性を維持するには、使用期限や着用方法に注意を払うことが重要。


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