会社防災グッズの用意は、災害時に従業員の命と安全を確保するために重要です。しかし用意していない、していても定期的な見直しが不十分なケースも少なくないでしょう。
また、しているつもりでも備蓄量が足りないと深刻な状況になりかねません。そこで、東京都が提供する東京都帰宅困難者ハンドブックをもとに、備蓄量の目安や必要な防災対応について解説します。
これから防災に向けて取り組みや見直しをするなら、本記事を参考に災害に備え、従業員の安全を確保しましょう。
【防災特集】はこちら!会社に防災グッズが必要な理由は以下の3つです。
会社所在地によっては防災グッズの備蓄が努力義務とされていますが、怠ったとしても罰則はありません。しかし、これらの理由から防災グッズは用意しておくべきでしょう。
必要な防災グッズが適切に備蓄されていれば、従業員は生き延びられます。たとえば食料や水、常備薬の備蓄で、数日間身動きがとれなくても最低限の健康を支えることが可能です。
また災害の程度によっては、帰宅を余儀なくされる従業員も多いでしょう。一次災害が落ち着いていても、帰宅途中に二次災害に遭う可能性はぬぐえません。
会社に十分な防災グッズがあれば帰宅する人数を減らし、二次災害への遭遇を避けられます。従業員を新たな被害に遭わせないためにも、防災グッズの備蓄は重要です。
適切な防災グッズがあれば従業員の安全を確保しつつ、業務の一時停止を最小限に抑えられるでしょう。
作業の継続が難しくても水や食料、医療用品などがあれば、従業員が必要な支援を受けながら安全に待機できます。
また防災グッズがあるという認識が従業員の安心感を高め、生産性の低下を抑えられます。安全確保だけでなく心身ともに健康であることが、結果として業務の再開への近道になるでしょう。
会社は従業員に対する安全配慮義務があるため、災害時の対応に法的責任を負う必要があります。そのため防災グッズの備蓄は努力義務であっても、社会的責任として重要です。
防災グッズがないことで従業員に死傷者が出た場合、義務違反として訴訟に発展する可能性もあります。
違反行為は地域社会との信頼関係や会社のイメージに影響を及ぼすため、防災対応は必要不可欠でしょう。
会社防災グッズは目安として最低3日分の備蓄量を用意しましょう。東京都帰宅困難者対策ハンドブックでは以下のことが記載されています。
発災後3日間は救助・救命活動を優先させる必要があります。 そのため、事業者は従業員等の一斉帰宅が救助・救命活動の妨げとならないよう、発災後3日間は企業等が従業員等を施設内に待機させるとともに、必要な備蓄を行うよ う努めましょう。
引用元:東京都帰宅困難者対策ハンドブック|東京都(閲覧日:2024/3/20)
また、社内だけでなく来社中の顧客など社外の帰宅困難者の分も含め、余分に備蓄するのが望ましいとしています。
防災に対する推奨事項は、都道府県によって異なります。3日分の備蓄を推奨する自治体が多いですが、詳細は所在地のある自治体ホームページで確認しましょう。
東京都の場合、東京都帰宅困難者対策ハンドブックで次のような目安を提示しています。
【一人あたりの食料備蓄量(3日分)】
食料品 | 備蓄目安量 | 例 |
---|---|---|
水 | 9L分(1日3Lとして) | ペットボトル入り飲料水 |
主食 | 9食分(1日3食として) | アルファ化米・クラッカー・乾パン・カップ麺 |
引用元:備蓄の目安|東京都帰宅困難者対策ハンドブック(閲覧日:2024/3/18)
また市街地から離れた場所や山間部など、所在地によっては万が一の救助が遅くなることも視野に入れたほうがいいでしょう。
食料品備蓄の交換は賞味期限にあわせて行います。交換時はフードロスやコストの面から、廃棄するよりも期限前に従業員へ配布するほうが望ましいです。
ただし期限が近いと従業員に持ち帰りを断られることもあるため、賞味期限の1年前を目安に交換し配布するのがおすすめです。